わーやばい今年も仕事納め

何も納まっておりません…
とりいそぎいただいた御本のご紹介。「すぐ読む」コーナーは膨れ上がるばかりで申し訳ないことしきりです。ご恵投深く御礼申し上げます。

街場のマンガ論 (小学館クリエイティブ単行本)

街場のマンガ論 (小学館クリエイティブ単行本)

武道的思考 (筑摩選書)

武道的思考 (筑摩選書)

民謡酒場という青春 -高度経済成長を支えた唄たち-

民謡酒場という青春 -高度経済成長を支えた唄たち-

すべて「すぐ読む」コーナーに配架させていただいております(棚から溢れてます)
歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ (中公新書)

歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ (中公新書)

師匠の新刊。啓蒙や身体統制を目的とした「国民づくり」(あるいはコミュニティ形成)のためのメディアとして唱歌を位置づける。この視点は例えば広告音楽とかに応用可能なのではないか。重要なのは「芸術」以外の音楽の機能について考えることである、という主張には大いに同意(というかその同意もまた渡辺先生による「音楽学者づくり」の成果によるものなのだが(笑)
創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書)

創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史 (光文社新書)

輪島君の積年待望のデビュー作。むっちゃおもろかった。もう言を尽くすまでもなく今年のベスト1。食べるラー油くらいのビッグヒットになること祈念

おせっかい教育論

おせっかい教育論

あまりに面白くて一気に読んだ。内田さん関係の本はあまりにたくさん出過ぎてどれ買ったらよいかわからない、という嘆きの声をよく聞きますが(聞いてへん聞いてへん)、内田本ソムリエ(自称)の私が自信を持ってお薦めする一冊。それが証拠に、一冊の本読み通すのに一月かかる(あるいは2日であきらめる)うちの妻が一晩で読みおえたくらいです。特に大阪になにがしか縁のある人・教育関係者の方々。ひとつまあ増田にだまされたと思ってぜひどうぞ。

ご恵投賜りました。ほんとうにありがとうございました。

考える耳【再論】 音楽は社会を映す

考える耳【再論】 音楽は社会を映す

師匠の新聞コラム集。既刊分(『考える耳 記憶の場、批評の眼』)よりぼやきオチの完成度が高まりもはや職人芸の感。「音楽を通じて社会を憂う」という構えが等しくても、アドルノや一部のカルスタの如き無駄な憂鬱感とは無縁で、「言ってみた。てへ」感をそれとなく施しておくことを忘れない配慮が弟子としては頼もしくございます(いやほんまに)。
現代人の祈り―呪いと祝い

現代人の祈り―呪いと祝い

街場のメディア論 (光文社新書)

街場のメディア論 (光文社新書)

うちの内田教典コーナーにスペース増設の声も聞こえております。いつもありがとうございます。『街場のメディア論』は神戸女学院の2008年「メディアと知」講義の内容を元にしているが、その科目、不肖私が昨年度より引き継がせていただいておりまして、これ読んでほんまに受講生に申し訳なく思いました次第。来週から今年度講義始まるんだけどどうしましょ…。著作権とオリジナリティについての議論が興味深い。講読にしようかしら(笑)
ニュージャズスタディーズ -ジャズ研究の新たな領域へ- (成蹊大学アジア太平洋研究センター叢書)

ニュージャズスタディーズ -ジャズ研究の新たな領域へ- (成蹊大学アジア太平洋研究センター叢書)

文化人とは何か?

文化人とは何か?

『平凡』の時代―1950年代の大衆娯楽雑誌と若者たち

『平凡』の時代―1950年代の大衆娯楽雑誌と若者たち

ユリイカ2010年9月号 特集=10年代の日本文化のゆくえ ポストゼロ年代のサバイバル

ユリイカ2010年9月号 特集=10年代の日本文化のゆくえ ポストゼロ年代のサバイバル

「水に歴史はない」という乱暴な記事を書きました。音楽のとこは他に死に舞君(id:shinimai)が書いててこちらは丁寧で面白い。オレと死に舞君はちょうど10歳違うんだけど、オレには(学生の頃)割と光明として映ってたポストモダンな文化相対主義ムードを、むしろ桎梏として捉える人たちが今の音楽と知の関係を作ってるんだろうなあと思った。世代論に還元するといつもいろいろ文句を言われるんだけど(笑)日本の大衆文化観を分節しているのは人種や階級というより世代(とジェンダー)の働きが大きいのだろうなと思う。さらにいえばある文化に属することと埋め込まれることの差異が規定し難くなることもまたそれに起因するのかもしれない(ジェンダー文化はまた違うのかもしれないけどよくわからないごめん。ただ11日のやおい/BLシンポはとても面白かったし勉強になりました。その「面白さ」についてはまだうまく言語化できない)。

シンポジウム「やおい/BL(研究)の今を熱く語る」

日 時:2010年9月11日(土)13:30〜17:30(開場13:00)
会 場:大阪市立大学文化交流センターホール
〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-600(大阪駅前第2ビル6階)
http://www.osaka-cu.ac.jp/info/commons/access-umeda.html
■参加無料
■要事前申し込み【締切を延長しました!詳しくは下記をご覧ください】
■主 催:大阪市立大学人権問題研究センター
■共 催:NPO法人ウィメンズアクションネットワーク、大阪腐女子研究会
■シンポジスト:
東園子(大阪大学大学院人間科学研究科/文化社会学ジェンダー論)
(団体職員/マンガ・ジェンダーセクシュアリティ社会学
守如子(関西大学社会学部/ジェンダー研究・社会学
(五十音順)
■コメンテイター:
秦美香子(神戸大学大学院国際文化学研究科異文化研究交流センター/ジェンダー研究・マンガ研究)
増田聡大阪市立大学大学院文学研究科/音楽学・メディア論)
(五十音順)
■司 会:
古久保さくら(大阪市立大学大学院人権問題研究センター)
■主 旨:
やおい」または「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男同士の恋愛を主題とした創作物は、女性を中心に支持を集めてきました。
一方、「BL本」を排斥しようという動きがあることも事実であり、研究や評論、マスコミの報道、ウェブ上などで、「やおい/BL」は様々に語られています。
でも、そもそも「やおい/BL」って何だろう? どういうところに魅力があるんだろう?
当日は、「やおい/BL」研究者やポピュラーカルチャー研究者が集結し、(刺激的で)熱いトークを展開します!これを聞けば、「やおい/BL」に関する日頃のもやもやが解消される…かも?
■お申し込み:
シンポジウムへの参加を希望される方は、
氏名・職業・年齢・連絡先(メールアドレス)を明記の上、
下記までお申し込みください。
・申し込み締切:2010年9月10日(金)24:00【締切を延長しました!】
・申し込み先:yaoibl.symposium@gmail.com
・なお、申込みが座席数の上限に達した場合、参加をご遠慮いただく場合があります。
その場合は追ってご連絡します。
■プログラム:
第1部:シンポジストによる発表
堀あきこ「BLはなにを欲望するのか」(仮題)
東園子「やおいはなぜ恋愛を描くのか」(仮題)
守如子「やおい/BLはいかに語られてきたのか」
(発表順)
第2部:全体討論
■お問い合わせ:
大阪市立大学人権問題研究センター
〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138
FAX:06-6605-2037
★ウィメンズアクションネットワーク(WAN)のサイトで、
シンポジウムに連動した特集「やおい/BLの魅力」を開催中!
詳しくは、WANのサイトで!→http://wan.or.jp/

http://wan.or.jp/reading/?p=617

すみませんこのところ帰省とか集中講義とかで多忙で告知忘れてました。なんでオレが呼ばれてるのかようわからんのですが、勉強してがんばります!応援しにきてね!まだ受付中。
東園子さんが『思想地図』に書いてた論文の相関図消費の概念がすごく面白かったのでその辺から少しでもお役に立てるお話し考えてみる予定です。

NHKブックス別巻 思想地図 vol.5 特集・社会の批評

NHKブックス別巻 思想地図 vol.5 特集・社会の批評

欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差 (ビジュアル文化シリーズ)

欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差 (ビジュアル文化シリーズ)

女はポルノを読む―女性の性欲とフェミニズム (青弓社ライブラリー)

女はポルノを読む―女性の性欲とフェミニズム (青弓社ライブラリー)

名和先生よりご恵投賜りました(ありがとうございました)。
名和著作権論の(例えば『ディジタル著作権』の)まさしくヴァージョン2.0という趣。いぜんと同じ鋭い考察やおもろい事例も自己サンプリング&リミックスしながら、より現状にフィットして使い勝手が増した、しかもヴァージョンアップしても従前通り読み心地軽快(笑)といいますか。とくにこの本では、グーグル・ブックサーチという00年代後半の具体的事例が、これまでの名和先生の投機的speculativeな議論をなぞるようなかたちで出現したかのようにすら思えてくる。おそらくは音楽や映像といった複製芸術の著作権問題は結局ククク…やつらはメディア四天王のうちの新参者にすぎん、所詮は雑魚よ…といわんばかりに、copyright制度が要請されることとなった直接の契機である印刷技術のヴァージョンアップこそが、おそらく幾多の著作権をめぐるおしゃべりの有効性をテストする格好の対象となるのでありましょう。学術情報の公共性とそのスポンサーとか、図書館の理念とか、これまでの著作権論者が周縁的とみなしていた問題系にこそ重点を置いてきた名和著作権論の現在の射程をありありと示す一冊。とにかく面白いです(まあ名和先生の本で面白くない本はないという読者の評ですからその辺差し引いてご判断あれ)。2ライブクルーの「プリティ・ウーマン」サンプリングがフェアユースになった件(これ日本のDJ著作権まわりの議論であまり言及されない気がするんだけどどうしてかなあ)も、日本の公正使用が現実化しそうな現状踏まえて再論されているが(183-188頁)これがまたスリリング。パクリ概念と絡めて要再考。個人的には、先生が口頭でいつもおっしゃってた「著作権審議会の議論では、昔はビジネスとか言うと叱られた(著作権法は文化に関する法制度であって経済とは無縁、とするエートスが根強かった)」エピソードが活字化されてる(131頁)のがありがたい。いつだったかが知りたいんだけどやはり思い出されておられないようでしたが…(笑)。まあたぶんアメリカのベルヌ加盟とかTRIPSとか以前の話(80年代末頃)とは推定されるけど。

シンポジウムのお知らせ

第1回 ポピュラー・カルチャー シンポジウム 「パクリ:ポピュラー・カルチャーにおける模倣と流用」

 日時:2010年04月24日(土)13:00 〜 17:00
 場所:京都精華大学 黎明館 L101教室
 参加無料・申込不要


基調報告
伊藤公雄京都大学教授)「(メタ)複製技術時代の/とDIY文化」

報告/パネルディスカッション
・増田 聡(大阪市立大学准教授)「パクリ─ポピュラー音楽の場合」
・山田 奨治(国際日本文化研究センター准教授)「〈パクリ〉はミカエルの天秤を傾けるか?─罪の軽重をお金で考えてみる」
・杉本 バウエンス・ジェシカ(京都精華大学准教授)「インターネット忍者の美学」
・細馬 宏通(滋賀県立大学教授)「模倣する身体」

司会:佐藤守弘(京都精華大学准教授)

より詳しくは
http://info.kyoto-seika.ac.jp/event/special/2010/1-1.php

京都精華大でやってるポピュラー・カルチャー研究会は、その位置づけや使命がよくわかんないまま面白い研究発表きいてけったいな議論して酒を呑む(しかもその議論が活字で残ってしまう)、という私にとってはとても愉快な研究会になっているので、安田さんやら谷本なっちや山中さんなど友人知己をやたらと引きずり込んでいるのですが(よそさんの大学のお金で遊ばせてもらって精華大さんには深謝)それが母体のシンポジウム。オレ以外豪華メンバー!どういう話に転がるか楽しみです。あと、リンク先で見ることができるシンポジウムの宣伝チラシのデザインがすごい。