4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書)

4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書)

私はサッカーについてはまったくの素人だが、右翼なので(笑)代表戦はとても熱心にテレビで見る(まあ一応Jもその延長でパトリオティズム的に見る。セレッソがんばってくれ)。代表Aマッチの日は我が家では「今日はおとんは試合やねん」ということで家事に手を抜くことが許されることになっている。そんな典型的なニワカサッカー好きにとってはとても面白かった一冊。2004年ユーロのオランダ×チェコの「謎のロッベン失速」は当時素人ながら不可解極まりなかったわけだがこれ読んで「おおなるほど」と膝を打った。あとジーコジャパンに感じ続けていた不毛感をすっきり整理してくれて胸のつかえが降りた感(でも素人右翼的には2004アジアカップの準々決勝や準決勝みたいな「ガッツ一発」な試合展開やそれに付随するスポーツ新聞的エピソードにこそ燃えるわけで、そういう娯楽提供キャラとしてはジーコはそれなりに秀逸だったんじゃないかと思う)。テレビで見ててもわからない「布陣」からサッカーを読み解く論述は(自分では検証はできないけど)説得的で実に面白い。おすすめ。こういう他分野の、娯楽的に扱われている対象についての分析的な議論を読むのは、翻ってポピュラー音楽研究を普通の人が見るときの視線をなんとか追体験してみようとする学究心からくるものである。決して逃避ではないのである。ないのである。