Loveずっきゅん
今日クルマでFM802聞いてたら流れてきたこの曲、昨年あたりからネットで話題だったらしいがまったくしりませんでした。女声ボーカル4人組ロックバンド、相対性理論の曲。下記で無料ダウンロード可。
http://www.mf247.jp/?gr2_id=00000000000000000000000529250013
CD-Rのミニアルバム(500円!)が売れ過ぎてすでに廃盤らしく、再発が決まったらしい(そのプロモーションでFMでもかかるようになったんですかね)。アマゾンでも予約受付中。1000円。正しくインディーズな展開ですなあ。
- アーティスト: 相対性理論,やくしまるえつこ,永井聖一,真部脩一,西浦謙助
- 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
- 発売日: 2008/05/08
- メディア: CD
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これ、初音ミクのバージョンがニコニコ動画にあがってる。聞き比べてみると面白い。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1279033
初音ミク以降のポップミュージックのあり方にはたぶん二つの差異化の方向があって、ひとつはPerfume型というか、音楽の水準ではなく現場のパフォーマンスの総体(あの驚異的な振り付けだけでメシ三杯はいける、的な)にアウラを担保させる方向が考えられる。たぶんこれは(まったく音楽性は異なるが)マイケル・ジャクソンやマドンナを嚆矢とするものであって、MTV的なメディア環境のコンテクストの中で育まれてきた「口パクでも構わないポップミュージックの意匠」の系譜に属するものだ。フレッド・アステアを敬愛するマイケルにとってはたぶんそれは副産物であって(おそらく彼の意識の上では、舞踊や演劇のようなブロードウェイ的な伝統の上に自身の活動を位置づけているのではないかと思われる)、マドンナこそがおそらくそれにもっとも自覚的なミュージシャンなのだろう。
- アーティスト: マドンナ
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/09/07
- メディア: DVD
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で、今日聞いた相対性理論はそのもうひとつのあり方、初音ミクで代替できないポップミュージックのもうひとつの側面(音楽内在的な)の今後の方向と展開とを預言するようなものと思えてしかたがない。ようするに「汎用的な媚態」をテクノロジカルにコントロールできるようになったのならば、そのような媚態を生身でバージョンアップさせるというか、あらかじめビルトインされた媚態を再度シミュレートしつつ不断にパロディ化していくような、そういう役回り(それは必然的に一時的な「流行」としてしか存在できないのだが)を自覚的に果たすことこそが、これからの人力バンドに要請される機能なのかもしれないなあとしみじみ思ったわけなのです。そのあたり、例えば椎名林檎とかが自覚的に開拓した媚態が結局は「歌う個性はプロの世界に属するからこそエラボレートされるわけよ」的な、専門職的な文脈に依拠していた(せざるをえなかった)のとはずいぶん様相を異にしているように思う。大塚愛の美点のみを濃縮しながら同時にそれを鼻で笑うような「Loveずっきゅん」のコーラス部分を聞いていただければわかると思うが(というか多分に感覚的な根拠でしかないので同意いただけるとは思わんのですが)、このバンドが見ているのは、初音ミクのような媚態のシミュレーション技術を誰もが利用しうる(つまりは参入障壁が格段に低下した)時代に、そのシミュレーションを再度人力でシミュレ−ションしながら(あたかもドラムンベースを人力で演奏したズボンズのように)「人のできることなんてしょせんこんな程度なんすよ」とへらへら笑いつつ、機械が生きることの出来ない生を「実際に生きる」ことを目指すような、そんな境地なのだろうと思う。というか妄想ですね(笑)。いずれにせよ、ネット発という流通面の新奇性も含めて見るといろいろ面白いことが言えそうなバンドだと思います。たぶんブログ界隈では受けるよなー。文部省謹製的スペックの中村中よりは(笑)