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- 作者: 斎藤環
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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備忘
(193頁)「…やっぱり誤解が多いんだ。一番多いのは、字ヅラにひっぱられての勘違い。つまり「現実界」っていうのは、まさに僕たちが今生きている現実世界のことを指していて、「象徴界」は制度やら組織やらシステムやらを指しているという理解かなあ」
想像界/象徴界/現実界が階層的な三層構造を成している、という通俗的ラカン理解に対する批判の箇所だけど、たぶん(理念型的な)官僚的な空間ってのには、そういった理解を促進するようなリアリティの感覚が横溢しているような気がするなあ。曰く、「現実界(レイパーソンの世界)は触れることができないおぞましいものだが、それは象徴界(法的制度的空間)を通じてのみ操作可能である(そして想像界=マスメディア空間とはその効果に過ぎない)」みたいな。そのような通俗的誤解が目立ってくるってことは、多分そのような「官僚的リアリティ」が社会に増大してることと通底してんじゃないかとか思います。思い過ごし? ならいいけど。