aiko『彼女』asin:B000GRUR78 New!
 新作。三十路かよ。すでにもうプログレの域といえよう。キリンジが分かりやすいポップ迷宮をプレゼンすんのと逆に、最初から紋切り型と思っているうちにいつしか迷宮に置かれていたことに気づくのである(XTCトッド・ラングレンの違いというか)。いつまで続くか見届けたい。

Shing02『絵夢詩ノススメ』asin:B0000TIG4I New!
Tha Blue Herb『STILLING STILL DREAMING』asin:B000066FWC New!
韻踏合組合『クリティカルイレブン』asin:B0000677DI New!
そろそろ日本語ラップのお勉強をちゃんと始める必要にかられ始める。まあ音楽学者ですから(笑)アクチュアルな実践にカタがついてからようやく、リサーチをしかるべく始めるべき時期がやってくるのである。しかし論文や本にした後でちゃんと聴く(Shing02とか)というのはいかがなものかと自分では思う。

加藤晴明・小川明子・岡田朋之『私の愛した地球博―愛知万博2204万人の物語』(リベルタ出版ISBN:4947637579
岡田さんよりご恵投賜る。私個人は愛知万博にはまったくノータッチだったが、本書でレポートされる中京地区ローカルな盛り上がりの諸相は、「バンパク」なるイベントが持つインターナショナルな神通力(とその反作用も含め)が、中京地区という文脈でいかに具体的なかたちをとって展開されたか、を示して興味深い。対東京の名古屋アイデンティティと、大阪万博以来の国家的イベントの記憶と、「名古屋(近郊)」というファスト風土の娯楽状況と、「万国博覧会史」というマスター・ナラティブの4つのファクターを同時に視野にいれる必要を本書は要求している(吉見俊哉五十嵐太郎といった「東京の」視点が繰り返し批判されるのは、そのうち最後の(および二番目の)観点のみがユーザーに押し付けられるように「映る」ためなのだろう)。で、私がこの万博に全く興味を持たなかったのは、これら4つの観点にほとんど無縁であったからにほかならないのだが、本書が面白く読めたのは、3番目の問題圏の資料として(例えば、東京ディズニーランドなどとの比較で)大変に興味深い議論や言説が多々収録されているためなのであった。と思う。なので「堺万博」とかあったら行きたいです(岡田さんの4歳の息子さんと似た感想ではあるのだが(笑))。