週末は(というか金曜日は)ディズニーシーに初めて行ってきた。強固に徹底した郊外の夢だな。ファミレスの進化形があるとしたらあのような「実在としてあるフェイク」なのだろう(逆か?)。あれだけやってくれるならもう抵抗なんてアホらしくて、という感じである。わーわーきゃーきゃーアトラクション乗り潰してビール呑んで堪能した。アドルノを連れて行きたかった。マゼランズ・ラウンジの偽バロック風のBGMなんかに口では酷評を加えながらも、結構気に入ってくれたんじゃないかと思う(笑)

岡田暁生西洋音楽史――「クラシック」の黄昏』(中公新書ISBN:4121018168

御恵投賜りました(がその前日に買ってしまった(笑))。目から鱗が落ちる本とはこのことだ。特にポップやらロックやら、「現在の音楽」を聴取基盤としている人の感覚に向けて、「クラシック音楽」(これは本書では常に留保付きの観念として用いられる)とは何やねん?を解説するには最良のマストアイテムだと思う。門外漢に核心を掴ませる、こういうのが新書本来の役割であろう(大きく出た書名はまさにふさわしい)。近代芸術の理念の抹香臭い絶対化からも、その反動としてのポストモダンからも距離を取り、今の社会の中で「クラシック音楽」がどのような歴史的意味を持ってきたか・いるかをフラットに(いや、血湧き肉踊る(笑)奔放なスタイルで、と言う方が正確か)記述するこの本によって、はじめて「クラシック」はジャズやロック、その他の音楽と横並びの自由な音楽として位置づけられることになるのだろう。岡田さんは常々お世話になっている阪大の先輩なのだが、西洋芸術音楽を解さぬ無教養な後輩にとっては、これ一冊でその領域の見取り図を「使えるかたちで」描くことができる大変ありがたい教育書でございます(とか言ってるとまたあの口調で叱られるわけだが)。