浜田真理子『Mariko』asin:B000067JNT


このところ2ヶ月くらいに読んだ本(3)


山本一郎『けなす技術』(ソフトバンクパブリッシングISBN:4797330775
 編集上林さん(御恵投恐縮です)が大変ご苦労されたことがよく見て取れる一冊ではあるが、切込隊長氏のまとまったブログ論としてとても面白く読んだ。しかし(どっかのブログで指摘されてたが)「ネットでの発言の切れ味」と同等のものを期待して読むと失望すると思う。おそらくその落差にこそ、本とブログとのメディア論的な位相差が如実に現れているのではないか。たぶんそれはスピード感や断言の快楽や、ノンリニアなテキスト読み書きを許容する「軽さ」の有無などによって形成されているように思える。そして、その位相差を価値の差とみなすこと自明とするわれわれの構えこそが、「書籍化を最終目標とするブログ」のあさましさとなって面白かったサイトをつまらなくしたり、逆に妙な「ネットは紙メディアより素晴らしい」的な夜郎自大幻想となって現れてしまい、そのような「位相差」の意味をちゃんと考えることを難しくしているのだろう。むしろその位相差をこそ(いろんなメディアで)クローズアップすべきではないか。すっとばして言えば(繰り返すが)単にカネ(これは収益というよりもむしろ「プロ」というカテゴリに関わる)の問題なのだと思う。ブログがアフェリエイトと不可分なものとしてビジネス方面で語られてしまうのは、その落差を魔術的に粉塗せんとするロマン主義的な欲望の蠢きでもあろうか。まあいいけど。なんか紙(あるいは放送)とネットが対立的なメディアとして語られる時のその語り口みたいなものが最近気になる、いや気に障るところがあるんで。訳のわからないことを言い聞くことを極度に禁忌とするその言説の癖とも関連して。ユリイカトークショーのときにでもそのあたりは話せたらまた。