照屋林助『平成ワタブーショー・沖縄チャンプラリズムの神髄2』asin:B00005ETX0 New!


勝手にしやがれデカダンス・ピエロ』asin:B00008ILOJ New!
 あ、こりゃいいや。近頃増えた印象があるスウィングジャズの歌謡ポップ化、というか毒気をかみ砕いたトム・ウェイツ(とまで書くと褒めすぎか)。こういうスタイリッシュなモダニズムシミュラークルといいますか、「どこにも存在しなかった架空のジャズ」には弱いのです。


★このところ2ヶ月くらいに読んだ本(1)


北田暁大『嗤う日本の「ナショナリズム」』(NHKブックスISBN:4140910240
 感想は『中央公論』6月号を参照(今夜〆切でいま書いてるとこなんですう)


内田樹釈徹宗『いきなり始める浄土真宗ISBN:4894167778『はじめたばかりの浄土真宗
ISBN:4894167786
 増田の祖父(中二のときガレージにタマネギ吊してて脚立から落ちて頭を打って死んだ)は変わり者で、戦時中は30代だったので最前線ではなく対馬あたりに配属され、その後北九州の製鉄所やらなんやらで働いたあと、オレが生まれた頃にはかつて家があった山あいに出来たダムの管理人を住み込みでやってて、よく父に連れられて夜中に遊びにいってた(ダムの事務所にはよくわからん不気味な計器がいっぱいあって面白かった)。昼間は畑で無農薬野菜を大量に作り、カブでリヤカー引いて農協を通さず近所の団地で主婦向けに売りさばき(よく警察なんかとトラブルになってたらしいがそこそこ人気だったようだ)、夜の山道を歩き回っては暴走族とケンカしながら、カブトムシだのクワガタだの大量に取ってきては孫にくれていた(孫は結構うざがっていた)。そのじいちゃんはしばしばなぜか古ぼけたクラシックギターをかき鳴らし、般若心経を浪々と唱え、「いいか聡、『色即是空』ちゅうのはのう…」とわけのわからない講釈を孫に説いて聴かせるのが常であった。当然ながら孫(オレだ)はなんのことやらさっぱりわからず、「じいちゃんうるせーっちゃ!」とばかりそそくさと無視するのが常であった。常にさつま白波の一升瓶を携行していたうさんくさい爺さんだったわけですよ。長じてはその孫もまた大して変わらぬことをやっているわけですが。
 うちの実家は葬式と法要の時に近所からお坊さん呼んでお経読んでもらう程度の、田舎によくある葬式仏教的で平凡な浄土真宗の檀家(たぶん)なので、いまだに宗教のことはよくわからない。だが、よくいる平凡な変わり者だった祖父がもっていた浄土真宗(というか宗教)についてのイメージと愛着は、たぶんこの本で説かれているようなものであったのかもしれない、という気がする。いまだにオレは、お釈迦さんにも数々の如来観音にもさほどありがたみ=アウラを感じるわけではないのだが(よっぽどキリスト教の教会なんかの方がその種のアウラに満ちていると思う)、実家に帰るとつい仏壇に線香を焚きリンを鳴らし、祖父の位牌を拝んでしまう。繰り返し祖父に覚えさせられたが結局「空即是色」までと「羯諦羯諦」以降しか覚えていない般若心経の一節を呟くことすらある。たぶんそれは、オレもまた祖父のような、よくいる平凡な変わり者だからなのだと思う。


参考まで。北京での反日デモを現地で見た方によるレポート。ディテール詳細。
http://beijing.exblog.jp/