・コールター・オブ・ザ・ディーパーズ「Penguin EP」asin:B000666T8U


本格的に風邪ひいた模様。うー。お仕事なんとか間に合わせます。


建畠晢『零度の犬』ISBN:4879956260 New!
 8年ぶりの第4詩集。彼の詩作を通じて存在する、いくつかの強力な物語的定型――詩学の精密な理論体系の中ではより適切な概念があるのだろうが、とりあえず――が、消すたび浮かび上がる指紋のように再帰する(例えば「定時の夢」「蚊に刺された宇宙」「杖の医者」など)。これはマンネリというよりも、そのような強力な定型が、すでに前三作において繊細に作品化「されすぎてしまっていた」ことによるのだろう(『余白のランナー』のあのクラシックな疾走感は、今となればそこに起因する)。ゆえに、散文詩よりも、今作に驚くほど増加した韻文詩(そう呼ぶことが妥当か否かはともあれ)の方に一層、そのような物語的な「動き」が顕著になったように映る。よって、次の建畠の作品が、小説(あるいは戯曲)のかたちを取ったとしても、まったく意外ではないとすら思うのだ。そして彼の(強力な定型を示す)過去の詩は、もっと「歌われるべき」なのだろう。50年代のビート詩人たちのように。ハード・バップあたりをサンプリングしたブレイクビーツをバックに「あのエンジン、このニンジン」や「声と条約II」「余白のランナー」など朗読してみたら、Jポップに混じって間違ってヒットしてもおかしくないくらいのイカしたポップチューンになるんじゃなかろうかと思うんだけど(難解なブルーハーブ、といった感じで(笑))、どうだろう。誰かやってみまへんか。