読んでいない本について堂々と語る方法

読んでいない本について堂々と語る方法

いやーむちゃくちゃ面白かった!作品メモランダムさん(http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/20081129/p1)で紹介されてたの見て速攻注文したのだが(ご紹介ありがとうございました)まあ内容はそれ読んでの通りです。美学的にゆうたらヤウスとかイーザーとかの懐かしい受容美学の応用編みたいなもんなのだが(もちろん私はヤウスもイーザーも読んでない)、フレンチエスプリが一枚噛むとアングロサクソンなハウツー本への痛烈な皮肉になってしまうんですねー。というかバルトのゆうてることを大衆化したといってもええか。こういう「自分のいまいる足場をエレガントにひっくりかえすのを楽しむ」気風みたいなものがたぶんいわゆる「フランス現代思想」というかポストモダン的な思潮の底流にあったのだなあということをよく思い出させてくれる快著。この人にソーカル事件の感想を尋ねたとしたら、たぶん京都人に六本木ヒルズについての感想をきいたときの答えみたいなのが返ってくるような気がします(笑)。この本の「書物」をそのまま「音楽」に置換したような本を書きたかった。というか書きたい。嫉妬しますねこういうのには。まあオレ本読まないから無理だけど。内田樹さんの愛読者にはぜひお勧めの一冊でもあります(たぶんゆうてること一緒やねん。「教養」と「独創性」の関係の日欧における微妙な差異みたいなのを除いて)。ほんとおもろいから騙されたと思って年末年始読んでみ!まあ読まんでどうのこうのゆうてもええけどな!あと読んだからっていって偉そうなこと言えるわけでもないけどな! 訳者あとがきにも爆笑(「本は読まないでも翻訳できるのではないかと考えた。これはラッキーだ」「ピエールに早く知らせてあげなければ…」)。こういう愉快な本、人間のいい加減さをへらへら笑いつつ緻密に肯定する本は読むと元気になってよいです。師走滑り込みでマスダの2008年のベスト1に決定(栗原さんの『〈盗作〉の文学史』は惜しくも二位転落。すまんです)