妻出産準備のため実家に帰省中です(なかなか産まれない…)

それとは別件で、下記の呼びかけ文を(許可を得ましたので)転載します。
東京芸術大学にある小泉文夫記念資料室についての件。転載歓迎とのことですので関心ある方面にお伝えいただけましたら幸いです。
小泉資料室のサイトは
http://www.geidai.ac.jp/labs/koizumi/


目下、東京芸術大学小泉文夫記念資料室(以下、小泉資料室)の管理体制を経済的な理由から変更しようとしています。そして、小泉文夫が収集した資料が分散されようとしています。

これらの変更の話は以前から耳に入っており、来月に小泉資料室の運営について意思表示する為に音楽イベントを行うことを計画していましたが、来週(2007年9月17日からの週)に、今後の方向性を決定する会議が行われるという情報が突然入りました。

そこで以下の文章をできるだけ多くの方にメールで回すことに致しました。世の中での小泉資料室への関心を高め、こうした改悪をやめさせるべく、皆様の意思表示やお力添えを頂けますよう、よろしくお願い致します。さらに、お知り合いへ回覧して頂けると幸いです。

この度は時間が限られているため、メールを活用しての署名活動を行います。ご賛同頂ける方は下記のメールアドレスまでご意見をお寄せ頂きたく存じます。その際はタイトルを「Re; 小泉文夫の資料が散逸の危機にあります。御力添えをお願い致します。 」とし、本文の最初に「小泉文夫の資料の分散と助手の常駐の廃止に反対。小泉文夫の資料の一括管理と助手の常駐に賛成。」として頂き、ご意見とお名前をお寄せ頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科3年
西原 尚  fuzznao@gmail.com


一学生の僕にはなかなか現状把握は難しいのですが、確認ができている範囲の事と、利用している学生の立場から感じた事を以下にまとめます。


「ひとつ、小泉文夫の蔵書を学内の他の蔵書と混ぜてしまう」

小泉資料室は音楽研究センターという組織の管理下にあります。そして、この度の変更によっては、この音楽研究センターの蔵書と一緒に小泉文夫の蔵書をアイウエオ順などで並べて、混ぜてしまうことになりそうです。小泉文夫が残した資料がせっかく一堂に集めてあるものを、わざわざ散り散りにしてしまうのは愚の骨頂です。小泉資料室には1万8千点の書籍、写真、ノート、等と1万9千点のレコード、テープ、DAT、等の資料があります。(※1)パンフレットやチラシには小泉文夫のメモ書き等も数多く残されています。管理が変わることによってこれらの資料は散逸し、五十年後には神田の古書市で発見されたりするのでしょうか?

そして、小泉資料室には700点を越える世界のあらゆる地域の楽器があります。これらの楽器は、ただ現地で買い付けた物ではなく、小泉文夫が世界各地の音楽家達と交流し一緒に吟味したり薦められる等して入手した、最高級の楽器ばかりです。これまではその膨大な展示楽器の隣に書架が有ったので、楽器を手に取り、蔵書を閲覧し、さらに音源を試聴するといった、五感を総動員する活発な勉強ができました。しかし、蔵書が移動してしまえば、こうした旺盛な学習は全くできなくなります。

また、私事になりますが、これまでの小泉資料室では、まず壁全体を覆い尽くす楽器群に息をのみ、隣のビル群のように膨大な蔵書に腰を抜かしました。そして小泉文夫の好奇心と行動力とエネルギーに鼓舞されたものです。また、小泉資料室から本を借りる時は学校の図書館ではなく、小泉文夫自身から本を借りるような愉快さもありました。蔵書が無くなれば、これらの体験は無くなります。


「ひとつ、世界各地の音楽を専門とする助手の常駐がなくなる」

これまで小泉資料室の開室時間には助手が常駐されていました。助手は理解ある寛大な態度で、しかし楽器の為に鋭いまなざしで、小泉資料室を見守っていました。管理体制の変更後はこれらの助手の常駐も無くなるようです。言うまでもなく専門家の常駐は非常に有効で、これまでは疑問を持ったその場で質問しすぐに回答やアドバイスを頂くことができました。それだけでなく、助手がいなくなる→施錠が必要になる→自由な出入りができなくなる→楽器に触れられなくなる、こうした図式も十分あり得ます。これは多くの学生の希望に反しているだけでなく小泉文夫自身の言葉にも反していると思われます。(※2)


繰り返しになりますが、ご意見を下記のメールアドレスへ頂けると幸いです。よろしくお願い致します。

東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科3年
西原尚   fuzznao@gmail.com



※1 図書   日本語 約3,600冊  外国語 約1,800冊
   楽譜   670冊
   雑誌   日本語 約430種  外国語 約50種
   楽器   約700点
   録音テープ  2,320点 
   映像資料   80点
   レコード   3,377点(国内盤 2,517点 国外盤 860点)
   スライド   約13,000点 
   プリント写真・絵はがき  10,000点以上
   民族衣装   58点
   その他フィールドノートなど研究資料  1,600ファイル以上
   (2006年4月現在)

※2 「…民族楽器が、僕の家には約千点ぐらいあるんだけど、どれにもいろいろな思い出があるんです。それらは学生が遊びに来た時、いつでも使えるようにしてあるんです。」小泉文夫著作選集2『呼吸する民族音楽』より