性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 (中公新書)

性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 (中公新書)

寝る前にちょっと目を通そうと思って開いたらすごく面白くて一気に読了した。著者は大和田君の先輩なんかな?
「性と暴力」というトピックにアメリカ社会の矛盾がもっとも現れている、という立論が、肩肘立てるでもなく淡々と物語られていく。私はもちろんアメリカ史には素人だが(理系から文転しましたもので、世界史は高校で履修してないんですわ※(笑))ポピュラー音楽史なんかの授業の必要上、「アメリカ社会の特異性」を一つのストーリーとして(過剰な「理論」に頼ることなく)再構成してくれるこのような本はとってもありがたいのである。人種混交の恐怖と市民の自衛武装と性の直視という規範がひとつながりになって、昨今の(ジャイアニズム的な)アメリカニズムを「リンチ型戦争」として読み解いていく語り口が鮮やか。最近の騒々しい新書戦争のさなか、一昔前の「古き良き新書」のあり方に再会したような気も。


※誤解を避けるために付記しておきますと、私の高校時代は世界史は必修科目ではありませんでした。94年以降かな必修なったの。
※ちょっと調べてみると変わったの92年でしたね(ただ高校での実際の施行は94年度入学の一年生から)。それまでの指導要領と比べてみると単位編成上の縛りがきつくなったのが明瞭(それまで男子は家庭科もなかったし)。自分が牧歌的な高校時代を過ごしたことを再認識させられるのであった。ちなみに私は87年度入学です。
昭和53年高等学校学習指導要領(昭和57年4月施行)総則http://www.nicer.go.jp/guideline/old/s53h/chap1.htm
平成元年高等学校学習指導要領(平成4年4月施行)総則http://www.nicer.go.jp/guideline/old/h01h/chap1.htm
参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/学習指導要領